日大医学雑誌

カペシタビンの経口投与により CR が得られた
乳癌多発肝転移の 1 例

症例報告

著者

君塚  圭  三宅  洋  大原 守貴  安藤 清宏
林  友紀  小沼 憲祥  菊池 剛史  原  順子
天野 定雄*
春日部市立病院外科
*日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門

要旨

症例は 46 歳女性,他院にて右乳房 AC 領域の7 cm 大の乳癌 T3N1M0 に対し胸筋温存乳房切除を行い,術後 AC 療法を 4 サイクル施行された.手術後 2 年3 ヶ月の CT で多発肝転移巣を指摘され当院を紹介受診した.点滴による化学療法を希望せず,カペシタビン1,500 mg を 1 日 2 回,3 週投与,1 週休薬を 5 サイクル繰り替えしたところ CT 上多発肝転移が消失した.経口化学療法により CR が得られ QOL を保つことのできた乳癌多発肝転移再発の 1 例を経験したので報告した.

keyword

capecitabine, multiple liver tumors, breast cancer, QOL
カペシタビン,肝転移,乳癌,QOL