総説

著者

若林　和彦　　深瀬　知之　　宋　　圭男　　高山　忠利
日本大学医学部外科学講座消化器外科部門

要旨

Evidence Base Medicine (EBM) において最良の証拠を提供するランダム化比較試験 (Randomized ControlTrial: RCT) の必要性が叫ばれている．今回，食道外科における RCT の現状と問題点を概説した．ここで記載した RCT の知見は，欧米において実施された試験の結果であり，本邦発信の知見は少ない．食道癌治療は多岐にわたり，また組織型，治療内容の相違から欧米での成績を一概に本邦においても evidence として認証することは困難である．RCT を計画し難い現状は，保険制度も含めた整備不足，多施設共同研究を計画する際の施設厳選の困難さ，何よりも手術及び治療の quality control の困難さにある．

keyword

Randomized Control Trial (RCT), Esophageal Cancer, Chemoradiotherapy (CRT), Pathological Complete
Response (pCR), Salvage Operation
無作為化比較試験、食道癌、放射線化学療法、病理組織学的著効、救済手術