症例報告

著者

森下友起恵　　山形　基夫 　　笠倉　雄一　　佐藤　一雄
杉谷　雅彦*　　根本　則道*
駿河台日本大学病院外科
*日本大学医学部病理学講座

要旨

乳腺原発扁平上皮癌は乳癌の中で特殊型に分類される稀な疾患である．今回，我々は乳腺原発扁平上皮癌の 1 例を経験したので報告する．症例は 58 歳，女性．右乳房腫瘤を主訴に当院受診．右 C 領域に 8.5 ´ 5.5 cmの境界不明瞭な弾性硬の腫瘤を認めた．術中迅速病理組織診にて，扁平上皮癌の診断であり胸筋温存乳房切除術 + 植皮術を施行した．病理組織結果は乳腺原発扁平上皮癌，純粋型であった．術後補助療法として放射線治療50 Gy を行い，術後 10 年経過した現在，再発の徴候なく外来通院加療中である．腫瘍が急速に増大し，嚢胞あるいは中心壊死の所見を伴う場合には本組織型を考慮すべきである．

keyword

squamous cell carcinoma, radiotherapy, lymph nodes metastasis
扁平上皮癌，放射線療法，リンパ節転移