症例報告

著者

吉武　　勇　　南　　和友*　　塩野　元美　　秦　　光賢
瀬在　　明　　飯田　　充　　新野　哲也　　和久井真司
田岡　　誠　　浅井　　陽　　安田　智子　　根岸　七雄
瀬在　幸安
日本大学医学部外科学講座心臓血管外科部門
*ドイツ・ボッフム大学附属バードユーンハウゼン心臓病センター

要旨

目的：冠状動脈バイパス術 (CABG) には q 心筋保護液による弛緩性心停止下 CABG w Off pumpCABG e On pump beating CABG r 心室細動 (Vf) 下，間歇的大動脈遮断による CABG があり，安定した成績が報告されている．今回，我々は間歇的大動脈遮断法を 2症例に施行したので報告する．

対象，方法：症例 1: 75歳，男性．梗塞後狭心症，糖尿病．心臓カテーテル検査にて 3 枝病変を認め， CABG (2) 施行．症例 2: 68 歳，女性．不安定狭心症，糖尿病． 心臓カテーテル検査にて3 枝病変を認め， CABG (4) 施行．手術は Vf 下に間歇的大動脈遮断法 (遮断直前に送血温 27°C で 5 分間灌流．遮断中は送血温 36°C で灌流， 15 分遮断を目安に再灌流)を施行．

考察：今回の症例においても ConventionalCABG に比べ大動脈遮断時間，体外循環時間ともに短縮され，結果的に手術侵襲を軽減し，心筋保護液使用による容量負荷，電解質異常，心筋浮腫等の影響も少なく有用な術式と思われた．

keyword

Intermittent Aortic Cross-Clamping, CABG
間歇的大動脈遮断法，冠動脈バイパス術