日大医学雑誌

下肢静脈瘤に対する術式の相違による神経障害の検討

研究報告

著者

長  伸介  中田 金一  秋山 謙次  根岸 七雄*
日本大学練馬光が丘病院心臓血管外科
*日本大学医学部心臓血管外科部門

要旨

下肢静脈瘤に対する手術の合併症の一つである神経障害を,静脈を引っかけて抜去する従来のストリッピング術とストリッピング術の一つである invaginationmaneuver 法1) で比較した.潰瘍を伴わない下肢静脈瘤患者 16 例を対象とし,従来のストリッピング術を施行した7 例 (S 群),および invagination maneuver 法を施行した9 例 (I 群) に分け術前後の伏在神経の感覚神経伝達速度を測定し検討した.S 群,I 群とも術前の神経伝達速度に有意差はなく,術後の伝達速度においては S 群のみで有意な速度低下を認めた.このことから,従来のストリッピング術と比較してinvagination maneuver 法はストリッピング術における神経障害の軽減に有効な一方法と考えられた.

keyword

varicose veins, stripping method, Neurological Damage, invagination maneuver
下肢静脈瘤,ストリッピング術,神経障害,invagination maneuver 法