日大医学雑誌

結節性甲状腺腫の診断と治療法の変遷

同窓会学術奨励賞受賞講演

著者

天  野  定  雄
日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門

はじめに

四半世紀前,甲状腺の外科診療は甲状腺に結節性の腫瘤が認められれば,それは手術適応を意味していた.しかし,患者さんの立場に立てば手術を受けるだけの相当の根拠がなければ,危険を伴い,生涯,手術跡が残る手術を承諾することはない.現在でも,術前診断の困難な腫瘤はあるが,細胞診は全例に行われており,診断は絞られて手術に臨んでいる.