日大医学雑誌
腎血管病変 ―腎動脈瘤自然破裂の 1 例―
画像診断
著者
北島 彰子 森田恒太郎 山口 健哉 吉田 利夫
滝本 至得 氷見 和久* 竹本 明子* 田中 良明*
日本大学医学部泌尿器科学講座
*日本大学医学部放射線医学講座
はじめに
腎血管性病変として泌尿器科領域で遭遇する疾患は腎動脈狭窄,腎動脈瘤,腎動静脈 瘻,腎梗塞,腎静脈血栓症,腎皮質壊死などがあるが,局所の障害のみでなく全身に影響を及ぼすことが多い.これらの中には高血圧など全身疾患も含まれる.また,糖尿病性腎症や ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody) 関連腎炎なども腎の血管性病変による.特に,腎動脈瘤については破裂しなければ無症状であるが,破裂時には,腎部の疼痛,肉眼的血尿がみられ,大出血時はショックから死に至ることもある.症状から,尿管結石症との鑑別が重要となり,従来 CT, MRI も有用であるが,確定診断は腎動脈造影にて行ってきた.最近では MDCT (multidetectorrowCT) の導入もあり診断は必ずしも腎動脈造影に頼る必要はなくなっていると思われるが,腎動脈造影は症例によっては引き続き治療に移行できるという利点がある.腎動脈瘤の治療としては,外科的療法として腎摘除術,血管再建術が行われ,腎末梢血管領域の症例に限られるが interventional radiology (IVR) による動脈塞栓術は手術療法に比べ侵襲が低い治療である.今回,画像を中心に腎動脈瘤症例を検討する.
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