日大医学雑誌

アトピー性皮膚炎における好酸球性炎症の制御

教授就任講演

著者

照  井     正
日本大学医学部皮膚科学講座

要旨

大学病院では一般的な治療に抵抗する重症のアトピー性皮膚炎 (AD) 患者が集まってくる傾向がある.この重症 AD に共通する皮疹は湿疹性病変に混じて,あるいは単独でみられる痒疹やび漫性の浮腫性ないしは浸潤性紅斑 (以下,び漫性紅斑) である.後者のび漫性紅斑がみられる AD の皮疹や皮膚テスト部位を組織学的に調べてみると一般の湿疹性病変に比べて好酸球の浸潤が強く,他の AD とは一線を画する病型と考えられた.び漫性紅斑の認められない AD 患者と免疫学的にどのような違いがあるのかを明らかにするために,IgE や末梢血単核球のサイトカイン産生プロファイル,皮膚テストなどを組み合わせて比較した結果,AD には抗原に対する免疫学的反応性に多様性があり,両者に違いがあるばかりでなく,その他いくつかの亜集団に分けられる可能性が示唆された.

keyword