原著

著者

大橋　研介　　越永　従道　　福澤　正洋*　　Anthony D. Sandler**
日本大学医学部外科学講座小児外科部門
*大阪大学大学院医学系研究科小児外科学講座
**Department of Surgery, University of Iowa College of Medicine

要旨

Granulocyte macrophage?colony stimulatingfactor (GM-CSF) および CpG Oligodeoxynucleotide (CpGODN) による併用効果を利用した自家腫瘍ワクチン療法は，腫瘍特異的な抗腫瘍免疫効果を持つことをこれまでに報告してきた．本研究では腫瘍切除を行うという外科治療により，この自家腫瘍ワクチン療法が微少残存病変に対してどのように抗腫瘍免疫能を誘導できるかを検討した．巨大腫瘍がマウス上に存在する状況下においても樹状細胞 (Dendritic cell: DC) は，ワクチン投与によって効果的に活性化されたが，ワクチン投与後のマウスの脾細胞は Interferon-gamma (IFN-g ) 産生が抑制された．しかしマウスの腫瘍を切除後にワクチン療法を行うと，マウス脾細胞の IFN-g 産生能は増加した．これらの所見は，癌細胞による免疫抑制効果が，原発巣の手術的切除により部分的には取り除かれることを示唆し，さらに微小残存病変 (Minimal Residual Disease: MRD) においてDC を標的としたこの免疫療法は，癌治療に効果的である事が示された．

keyword

CpG ODN, GM-CSF, Neuroblastoma, Tumor Vaccine, Minimal Residual Disease
CpG ODN，GM-CSF，神経芽細胞腫，腫瘍ワクチン，微小残存病変