日大医学雑誌

マウス胚の着床現象に関する可溶性蛋白について

原著

著者

松永 竜也  山本 樹生
日本大学医学部産婦人科学講座

要旨

outgrowth は胚が子宮内膜に接着し,穿通,侵入する過程の一部である. 胚を取り巻く因子として血清因子を推察し,FBS 中の outgrowth を誘導する因子を解明する目的で検討を行った.方法:細胞外マトリックスを coating しない dish に FBS を加え,マウス胚の outgrowth活性の有無を観察した.さらに FBS を HPLC にて分離し,活性物質の分子量を推定した.結果:FBS はoutgrowth を誘導し,FBS 中の活性は分子量 9~19 万と43~87 万の 2 つの分画にあった.Fibronectin は前者の分画に存在したが FBS 中の活性は RGD 領域を含むfibronectin 阻害物質では抑制されなかった.結論:FBS中の outgrowth 活性は 2 つの分画にあり,その 1 つとして非 RGD 領域の fibronectin の活性を推定した.

keyword

outgrowth, fetal bovine serum, fibronectin
着床,牛胎児血清,フィブロネクチン