日大医学雑誌

心臓移植―とくにドイツにおける心臓移植の現況
(Bochum 大学付属ノルトライン・ウエストファーレン州心臓病センター)

総説

著者

飯田  充1)  塩野 元美1)  秦  光賢1)  瀬在  明1)
根岸 七雄1)  南  和友2)
1)日本大学医学部外科学講座心臓血管外科部門
2)日本大学医学部外科学講座心臓血管外科部門客員教授,
Bochum 大学付属ノルトライン・ウエストファーレン州心臓病センター教授

はじめに

心臓移植は現在,末期重症心不全患者に対する有効な治療法として,既に欧米諸国では安定した成績を修め,日本においてもそれは周知の事実である.1967 年 12 月に南アフリカ共和国で同種心臓移植が施行され 18 日の生存を記録した.1968 年には 100 例の心臓移植が施行されたが,その多くは拒絶反応を引き起こした.そしてその治療成績を安定させた要因が cyclosporine の登場である.これ以降,成績は格段に向上し,さらに手術療法の確立,免疫抑制療法の発展,移植コーディネーターの組織化などにより,安定した成績を収めるようになった.現在では欧米においては定着した治療法となっている1~3).ようやく本邦においても,1997 年に臓器移植法が制定され,脳死判定のもとに心臓移植が始まった4).これまでの心臓移植の発展と留学先のドイツ (とくにBochum 大学付属ノルトライン・ウエストファーレン州心臓病センター) における成績について報告する.

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Heart Transplantation, Eurotransplant, High Urgent, Category of Urgent
心臓移植,ユーロトランスプラント,重度緊急,緊急分類