日大医学雑誌
川崎病冠動脈障害における低侵襲的冠血流評価
画像診断
著者
唐澤 賢祐 金丸 浩 阿部 修 宮下 理夫
谷口 和夫 鮎沢 衛 住友 直方 岡田 知雄
原田 研介 井上 文央* 佐藤 裕一*
日本大学医学部小児科学講座
*日本大学駿河台病院循環器科
はじめに
川崎病による巨大冠動脈瘤の自然歴は,Fig. 1 に示すように冠動脈瘤内の血栓性閉塞,再疎通,側副血行および内膜肥厚による狭窄性病変への進展を認める.このような病態は多くの場合は無症候性に進行し,心筋梗塞の発症で明らかになる場合もある.よって,冠動脈瘤の形態と心筋灌流を継続して評価し,適切な治療方針を行っていくことが重要である.川崎病の長期観察における冠動脈障害の評価として,従来から心エコー,運動負荷心電図が行われる.また,重症例では,心筋シンチグラフィおよび選択的冠動脈造影による評価が加えられる1).近年,画像診断法の進歩によって,侵襲を少なく詳細な冠動脈障害の評価が可能になった.そこで学童期以降の川崎病既往例における低侵襲的冠血流評価として,運動負荷心筋シンチグラフィ (以下運動負荷心筋 SPECT) による心筋灌流の評価と Multi-slice spiral CT (以下 MSCT)による冠動脈描出法2, 3) を行っている.
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